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2008年10月15日

南部陽一郎先生とラグタイム

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皆様

僕は 1986 年から 4 年間シカゴ大学にいましたが、
その間 南部陽一郎先生 にいろいろお世話になりました。

赴任して間もない頃、
「一度うちにいらっしゃい。」
とご自宅に招かれたことがあります。

大学のすぐ近く、
シカゴ南部のハイドパークにある立派な家です。
玄関を入るととても広く暗い居間があり、
真ん中にゆったりしたソファセットが陣取っていて、
グランドピアノもありました。
先生はなにか用事があったらしく
しばらくそこで一人で待つことになりました。

待っている間に退屈したからでもありますが、
そこにあったグランドピアノをたまらなく弾いてみたくなり、
失礼を承知でピアノの鍵盤のふたをあけ、
その頃自分で練習をしていた
スコット・ジョップリン(Scott Joplin)の
「エンターテイナー」を弾き始めました。
映画「スティング(The Sting)」のテーマですね。

しばらくすると奥さんが現れて
「お上手ね。」
心中「随分ずうずうしい人だな」と
思っていらしたかもしれません。

間もなく南部先生が来て
「それはもっとゆっくり弾かなきゃ。」
と言われました。
「え?」というと
「聴いた事のあるのは、もっとゆっくりですよ。」

確かに初心者は、ラグタイムを速く弾きすぎる傾向があります。
スコット・ジョップリン自身が
「ラグタイムは決して速く弾いてはならない。」
と戒めていたのを思い出しました。

南部先生は口数も少なく、
まったく気取るところもなく、
一見音楽通という印象は受けないのですが、
「ラグタイムをかなり深く理解しておられる。」
と感銘を受けました。

山本均より

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