物理学者と素粒子好きのみなさんとの、ILC(リニアコライダー)にまつわる対話集。
好奇心のおもむくまま話はいろいろなことろに、飛んでいきます! はてさて、素粒子物理研究の一端をここで垣間見る見ることはできるのでしょうか?
▼はじめのごあいさつ
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広島大学准教授。スタンフォード線形加速器センターへて、広島大学へ。リニアコライダーでは「レーザーと電子ビーム」をキーワードに光子光子衝突や偏極陽電子源の開発を行っている。小学校のときは剣道場へ通い、中学・高校ではサッカー部だった。今でも週2回のスポーツジム通いは欠かさない。
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バレエ評論家。第4回・5回日本ダンス評論賞入賞。好きなものはバレエと猫。著書に『「星座」になった人 芥川龍之介次男・多加志の青春』(新潮社)がある。
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高エネルギー物理学実験を楽しんできたが、1年半前に KEKを定年退職して現在は名誉教授に。05年には木原元央氏と共著にて『リニアコライダー 素粒子の謎に挑む最強の加速器』(技術経済研究所)を刊行。
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カリフォルニア工科大学大学院に留学し、スタンフォード線形加速器センター、フェルミ研究所等で素粒子実験に携わる。ハーバード大学准教授、ハワイ大学教授を経て現在東北大学教授。ILCの物理と実験に関する国際組織のアジア代表を務めている。趣味は茶道、ピアノ、インラインスケートなど。
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2008年04月26日
高橋先生、どうもありがとうございます。
物理学=数学を用いて記述するのですね。
『 日経サイエンス5月号 』に川合光先生と茂木健一郎氏の
対談が載っていました。
グッドタイミング!
そこでもう一度『 物理学はいかに創られたか 』( 岩波新書 )を
読んでみることにしました。
アインシュタインとインフェルトの共著です。
川合先生は、小学五年生でお読みになって
物理学の凄さに、強い感銘を受けられたのだと伺いました。
また小柴先生が、中学一年の時恩師からいただいて読まれ
「 物理学にはじめて出会った 」本であることも存じています。
私がこの本のことを知ったのは、大学生の時。
寺田寅彦の著作のなかに「 石原君 」という名前が出てきたからです。
この訳者の石原純博士は、東北帝大の理論物理学者でした。
教授だった彼は、歌人の原沙知緒と恋愛事件を起こし、
駆け落ちしてしまったのです。
そこで、当時私は何かオモシロイことが書かれていないかという
非常によこしまな動機で頁をめくりました。
今回、改版で読みました。
数式を使っていないことに、あらためて驚きました。
久しぶりに、順を追って頭で考えることをし、
上質な本の味わいをたっぷりと実感しました。
訳もすばらしいです。
文章にリズム感があって、おまけに明晰。
ちっとも古びた感じがしません。
この石原純という物理学者は、アララギ派の歌詠みでもあったのですね。
この本を著した1938年、レオポルト・インフェルトはアメリカにいました。
ユダヤ人である彼が、祖国ポーランドへ帰ることは
命に危険が迫ることを意味しました。
しかし、彼はその後アメリカのプリンストン研究所にむかえられます。
もしかしたら、この名著が彼の命を救ったといえるかも知れません。
天満ふさこより
2008年04月14日
理論と実験の話に戻りましょう。
理論物理学者とは、
つまり自然を記述する物語を書く作家や編集者でしょうか。
ただし、使う言語は数学です。
自然を記述しようとしたのですが、言葉そのものが舌足らずで
うまくいかないこともあります。
その場合、言語そのものを創り出さなければなりません。
力学を創るときに、微分積分学ができました。
今でもこの方面の最先端は、
数学なのか物理なのか見分けがつきません。
実験物理学者は材料を創り出して作家に提供したり、
作家の書いたストーリーの真偽を
実際に試したりすることになります。
ある時は起業家、ある時は経営者、従業員、発明家、役者
……いろいろな人がいます。
もちろんどちらも,物語を完成させることが目標ですが
仕事の内容や性格、適性もかなり違うようです。
作家でも、事業に乗り出したり、政治家になったりする人もいますし
本を書くのは作家だけではありません。(私たちも書きました!)
作家でも、事業に乗り出したり、政治家になったりする人もいますし
ですが、それぞれの仕事があまりにも
専門的知識と労を要するようになってしまったので
いつしか理論と実験という区別ができてしまいました。
でも私は、本当は実験とか理論とか区別するのは
好きではありません。
方法が違うだけで目指すところは同じ。
自然を記述する物語を完成させたいのですから。
高橋徹より
2008年04月10日
以前授業でこんな話をしたことがあります。
とてもおおざっぱな話なのですが、
“ 人間を解明すること ” を考えてみます。
対象 分野 表現方法(つまり上でいう言語)
人間の行動様式の解明 脳科学? 例えばMRIによる血流など
神経の活動 生物学/脳科学 神経電位など
神経細胞の動作原理 化学 化学反応式
分子や原子の成り立ち 物理 量子力学
こんな具合に、ちょっと強引ですが、
追求する対象が小さくなるほど、
使う言語が数学に近くなっていると考えられます。
( もっとも情報学とか統計学のように
化学のなかにも量子化学という分野もありますから
これは一つの見方です。
それに、脳の場合は、主体と客体が明確に分離できないので
話が複雑になります。それはそれで面白いのですが。)
ということで、物質の究極の成り立ちを表す方法が
高度な数学になるのは、自然な成り行きと考えることができます。
高橋徹より
2008年04月06日
皆様
先月の 23 日から 26 日まで「 物理学会 」に行ってきました。
宿泊したホテルのネットワーク環境があまりよくなくて、
メールもままならない状況でした。
今回と前回の学会は素粒子実験領域の世話人ということで
プログラムを作ったり、会期中は全セッションで進行を見守ったりと
大忙しでした。
その話はまた別の機会に…。
さて、理論物理について、どのように返事しようかと考えていたのですが
そもそも理論物理とか、実験物理って何だろうと思い始めました。
そんなことを考えていたら、
「 そもそも物理って何だっけ? 」
などという、根本的なことを考え始めてしまいました。
またまたとりとめのない長い話になりそうなのですが、書いてみます。
物理学というのは結局、
「 自然現象はこのように起こっているのだよ 」
ということを記述するのが目的だと思います。
記憶が曖昧なのですが
「 物理学とは自然を記述することだ 」
と昔の高名な方が言っていたと思います。
よく自然を解明するという表現を使いますが
解明するというのは、記述するということだ、ということです。
( ここを間違えると、似非科学にひっかかります。 )
でも、この記述するとうのがクセ者です。
物理学で記述するというのは、誰が読んでも曖昧なく理解できるように
客観的に記述すると言う意味です。
そのためには、使う言語もそれに適したものである必要があります。
我々が持っている最も客観的な言語=数学です。
つまり物理学というのは,自然現象を数学で表したらどうなるか
ということが本質であると思います。
高橋徹より
2008年04月02日
岩田 先生
岩田先生の書簡を読んで、ふと…。
おととしの秋、広島で開催された「 究極の素粒子 ―超弦理論の展望― 」を
拝聴した時のことを思い出したのです。
スライドに映されたファインマン図( というのだろうと思います )と
「 超弦理論 」の専門用語…。
あれいらい私は、軽々しく “ ひも ” のことを言わなくなりました。(苦笑)
講演の最後に、川合光先生は、
小学五年生の時『 物理学はいかに創られたか 』を読み
高校時代に『 ファインマン物理学 』を読んで
感銘を受けたことを話されました。
私の本棚にあった本と、違いすぎます。(笑)
大学を卒業して読んだのは、同じファインマンでも
『 ご冗談でしょう、ファインマンさん 』( 岩波書店 )でした。
幼い時からの環境って大切ですね。
バレエ、特にクラシックバレエでは、プロのダンサーを目指す人は
子供の頃からの絶え間ない訓練が必要です。
それも世界に羽ばたくには、バレエ漬けの人生を覚悟しなければ
なりません。
物理を志す人も、何か若い時からの訓練が必要ですか?
天満ふさこより
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