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2007年03月28日

番外編・海外での確定申告

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みなさま

先日、確定申告の書類を書いていました。

それで思い出したのですが、
アメリカでは収入のある人全員が
確定申告をする義務があります。

通称 Tax Return と呼ばれているものです。
そういえば、スペースシャトルの飛行士が宇宙にいて
この書類の締め切りに間に合わないから何とかしてくれ、
と言っていました。
アメリカでは、こんなジョークが通用するくらい、
一般的なものです。

全国民が書くので、ふつうの人にとっては、
それほど複雑な書式ではありませんし、
最近では、いろいろ便利なソフトが発売されたりしています。

ところが、アメリカで生活を始めたばかりの外国人は、
いわゆる一般の人ではないんです。
最初は非居住外国人( Non-Resident Alien )という扱いです。

何が困るかというと、
こちらの方が、一般に比べて、
書式が複雑で面倒なのです。
( 1040NR とか 540NR という書類でした。
難しかったので、帰国して 10 年以上たった今でも、
書類の名称を覚えています。)

アメリカ生活を始めたばかりで、
税制どころか、生活習慣もよく分からない。
英語も満足に理解できないのに、
税金の書類など理解できるはずもありません。

それでほっておいたら、
数ヶ月後に税務署から電話がかかってきました。
州税の申告をしていないので
200 ドルのペナルティーなんだそうです。
泣く泣くペナルティーを払いました。

国際共同研究で海外から人が集まると、
こんな生活密着の習慣でとまどう人が、たくさんいるでしょうね。

数千人規模で、外国から人が集まる町を作るためには
こんな部分のサポートが、とても大切になると思います。

高橋徹より

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2007年03月23日

Re:Re:バレエと物理学者

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岩田先生

うーん、岩田先生は、やはりスゴイ!
英語が共通語なので、何でも英語でご覧になる。
『 Ballet! 』という小説があったことすら知らなくて、
恥ずかしい限りです。

実は、バレエに興味を持っている物理学者は、
寅彦だけではありません。
アラン・ライトマンもそのひとりです。
彼の『宇宙は踊る』(早川書房)も面白かったです。
…… ただし、私は、日本語で読みました。(笑)

バレエのことを書くのに
「重力のトルク」「慣性」などの物理学的な表現と、
散文とを融合させた文章が、
知的なエレガントさを醸し出していて、カッコいいんです。

2 年前、『やさしいダンスの物理学( Physics and the Art of Dance )』
( 大修館書店 )が、日本でも出版されました。
著者のケネス・ローズは、物理学者で、
バレエのクラスも教えていました。

巻末には、バレエのグラン・ピルエットの定量的分析とかがあって
本物の数式で、説明してあるのです。
…… 偽物の数式なんて、あるわけないんですけれど。(笑)

バレエという芸術を、数式で表そうと試みていて、驚きました。
が、数式の意味するところが、私にはさっぱりわかりません。(苦笑)

笑ったのは、ノーベル物理学賞を受賞した
ファインマンの逸話です。

彼は、物理学者という職業を隠し、演奏者としてボンゴを叩きます。
彼らの演奏が、バレエの音楽に使われることになりました。
そして、そのバレエが、フランスでのコンクールで
2 位 に入賞するのです。
(岩波書店の『ご冗談でしょう、ファインマンさん』で読みました。)

ファインマンくらいになると、人生のいろいろな場面でセレンディピティー
( serendipity = 幸福な偶然 )を掴まえることができるんですね。

なんで、こんなことを書いてしまったかというと……。
今年の日経の「私の履歴書」は、江崎玲於奈博士から始まりました。
(毎日、楽しみに読んでいました。)
江崎博士が、子供の時に、モダンバレエを習われたことが
載っていたんです。
それで、ちょっと親しみを感じてしまったからです。

私も、「物理学者の眼」で、バレエを観てみたい。
どんなふうに映るんでしょうね。

天満ふさこより

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2007年03月19日

Re:バレエと物理学者

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天満さま

お便りありがとうございました。
天満さんの嗜好が科学にまで及んでいる理由(の一部)を
知ったような気がします。

僕は、寺田寅彦が、
地球物理学者で随筆家だとは、知っていましたが、
随筆のどれかをきちんと読んだ、という記憶はありません。

彼が、夏目漱石にも学んだ俳人でもあったことは、
ごく最近知ったばかりです。
そんな調子ですから、寺田寅彦がバレーにも興味を持っていたなんて
まったく知りませんでした。

バレーと言えば天満さんの専門分野(のひとつ?)ですね。
僕にとってバレーとの接点は、
T. Murphyの『 Ballet! 』というペーパーバックス(1978刊)
しかありません。

これは東西冷戦時の情報部員の暗躍を、
クラシックバレーの舞台もまじえて
組み立てたスリラーです。(もう絶版でしょうね)。

ページがもう黄ばんだまま本棚に眠っています。
バレーそのものについての記述はすべて新鮮だったと
記憶しています。(分かりにくかったんですが…)。
筋は覚えていませんが、何か印象に残って、
また読みたくなるかも知れないと
考えたのか、捨てずに残してあったんです。

これをきっかけに読み返してみます。

岩田正義より

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2007年03月14日

バレエと物理学者

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みなさま

高橋先生、どうもありがとうございました。
ILCが実現に向けて、確実にスタートしたことが
よくわかりました。

さて、話は変わりますが…。

私は、学生の時から寺田寅彦に親しんだおかげで、
物理学者が書いた文章が大変好きです。
「 團栗 (どんぐり)」を読んだときは、一生に一作でよいから、
このような作品が書けたら……、と思いました。
若く美しい妻が、乳飲み子を遺して、肺結核でこの世を去るという、
病妻物の、は・し・り のような作品です。

彼が活躍した 20 世紀初頭は、
量子力学が、飛躍的な発展を遂げた時代でした。
また寅彦は、生前のアインシュタインに会った、
数少ない日本人のひとりでもあります。

ラザフォード、ボーア、プランク……
随筆でたくさんの物理学者に出会ったことが、
後に素粒子物理にも、興味を持つきっかけに
なったような気がします。

逆に文学の世界に浸りすぎると、「 情念の世界 」で
足元が液状化現象を起こして、倒れそうになってしまうことがあります。(笑)
すると、むしょうに科学関連の本を読みたくなるのです。
自分の中で、バランスを取ろうとするのでしょうか…?

「ちょっと勝手なお願い」のところで高橋先生が書かれていた
「バレエと物理とのつながり」ですが、
物理学者にもバレエに興味のある人は居ます。

寺田寅彦は、今から 85 年も前、大正 11 年( 1922年 )に
2 回もバレエを観ていました。
伝説のロシアのバレリーナ「アンナ・パブロヴァ」です。

9 月 11 日に帝劇で、それから同じ月の 27 日にも小宮豊隆と観ています。
日記で発見したときは、まぁ~っ! と思ってうれしかったですね。
それで、バレエについて、何か随筆を書いていないか探したのですが、
見つけることができませんでした。

日記にある「白鳥」というのは、「白鳥の湖」ではなく、
「瀕死の白鳥」( ミハイル・フォーキン振付 )というバレエのことでしょう。
白鳥の命が尽きていく最期の瞬間を、
肩甲骨から指先までのさざなみのような動き、
それから、トウシューズで立って小刻みに足踏みをするような、
パ・ド・ブーレ( Pas De Bourree )という足のパ( ステップ )で
深遠に表現します。

私は、パブロヴァ賞を受賞した、マイヤ・プリセツカヤの「瀕死の白鳥」を
6 回も観てしまいました。(笑)
ですが、寅彦がアンナ・パブロヴァを観てどう感じたのか、
書き残してほしかったですね。
きっと、私とは、捉えかたが異なったことでしょう。

天満ふさこより

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2007年03月10日

続・北京会議の話

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天満様

ちょっとわかりにくいので、車の開発にたとえてみます。

ILC 自動車会社が、その社運をかけて全く新しい車
(仮にILC = International Linear Carとでもしましょう)
開発して売りだそうとし、まずはエンジンやサスペンションなど
個々の技術開発を行ってきました。
ILC 社内でも、各研究部門が競争して、
エンジン開発を行ってきたのですが、
財政上 2 台の新車の販売は困難となりました。

そこで、まずもっとも根幹となるエンジンの形式を
決定したのです。
2004 年の超伝導の採用はエンジンの技術をロータリーにするか、
レシプロにするか、( 空冷と水冷といった方が良いかな? )
という決定に対応するのでしょうか。

もっとも根幹となるエンジンの技術が決まったので、
まず車( ILC ) の基本構成をつくりました。
乗用車か SUV か、スポーツカーか、高級車か、
というところです。
これが基本構成です。

それが決まったので、より詳細な車のコンセプト;
エンジンの排気量や定員などの全体の形がきまった段階が
基準設計といえます。
その中には、値段の初期見積も含まれています。

今後それを製品化して、量産するための製品開発と設計が
工業設計ということに対応します。
ILC は今からこの段階に入ります。

それができたら、経営陣が量産と販売に go サインを出すかどうか
判断することになります。

ILC が今どの段階にあるか、少しは実感してもらえたでしょうか。

高橋徹より

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2007年03月06日

北京会議の話

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天満様

2 月 4 日から 7 日まで
北京で、ILC に関する重要な会議がありました。
ちょっと話しが硬くなるのですが、話してみます。

2004 年に超伝導技術を使う ILC が発足した後、
国際設計チームが組織され、まず基本構成
( Baseline Configuration ) を作ってきました。

これができたのが 2005 年末頃で、
その後基準設計( Reference Design ) が作られてきました。
これ( の案 )が先日北京で行われた会議で報告され、
それをうけた ILC運営委員会 ( Steering Committee ) が
記者会見を行いました。
2 月 8 日のことです。

これは、ILC 発足後の最初の大きなマイルストーンである
と言われています。

ILC には何千台もの加速器装置や
それに付随した数多くの施設が必要です。
実機を作るには、
そのような量産が可能な設計が必要なのですが、
基準設計は、その元になるものです。
つまり、 ILC がどんなものになるのか、決まったことになります。

今後、ILC の開発は、新たな段階になります。
基準設計に沿って、それを実現するための開発と、
それに基づいた実機の設計を行っていくのです。

その成果は、工業設計( engineering design )という名前で
まとめられますが、これは 2009 年から 10 年くらいでしょうか。
そしていよいよ、建設の実現へ向けて、、、ということになります。

高橋徹より

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