rssフィード


Movable Type 3.2-ja-2



2007年01月16日

ILCの加速技術

line

みなさま

ところが、今病院にあるX線発生装置では
30 keV の X 線だけを造ることはできません。
いろいろなエネルギーの X 線が、混ざってしまいます。
それに 30 KeV の X 線というのは
X 線としてはかなり高いエネルギーなので、
強度もあまりありません。

ご存じの放射光施設では、電子をリングで曲げることによって
光(放射光)をつくります。
これを使うと、原理的に 30 keV の X 線を取り出せるのですが、
なんとこれができるのは、 KEK の PF とスプリング 8 という、
日本に 2 台の大型施設だけです。

ところが、ビリヤード方式、つまり、クライン仁科の公式で記述される
「 コンプトン散乱 」を使うと、電子のエネルギーは 40 MeV、
つまりスプリング 8 の 200 分の 1 ですみます。
" 電子 "という粒子で、" 光子 " という粒子を直接跳ね返すので、
効率が良いのです。

ここで、リニアコライダーの加速技術が登場します。
今の ILC の前に高エネルギー研で開発されていた、
加速方式( X バンド加速管といいます)を使うと、
40 MeV の電子ビームというのは、
1 m 程度の加速器でできてしまいます。
これだと病院に 1 台もできそうですよね。

問題は、血管の写真が撮れるほど強い X 線を造るには、
電子に当てるレーザーの強度が、かなり強くなければならないことです。
(放射光の場合、 PF とかスプリング 8 ならば、これはなんとかなります)
この技術が、ちょっと難しい。
( せっかく加速器が小さくても、レーザー装置が巨大では話になりません。 )
電子にレーザーをあてて光子をつくるのは
ILC のいろいろなところにも使われます。
そのため、この技術開発は勢力的に行われています。

ILC の技術が,狭心症や心筋梗塞の治療に直接役立つ日がくるのは、
そんなに遠い将来ではないと思っています。

高橋徹より

line

このエントリーのトラックバックURL:
http://linear-collider.org/mt/mt-tb.cgi/38